意見書を提出した理由とは

 
  中間まとめのどこに関連するのか?
    文化審議会著作権分科会法制問題小委員会は今年度の検討議題のなかから、以下の点についての審議検討結果を中間まとめとして1012日の著作権分科会に報告しました。
   

①デジタルコンテンツ流通促進法制について

②海賊版の拡大防止のための処置について

③権利制限の見直し

薬事関係、障害者福祉関係、ネットオークション等関係、

④検索エンジンの法制上の課題

⑤ライセンシー保護等のあり方について

⑥いわゆる「間接侵害」にかかわる課題等について

⑦その他

   

このなかで、③の権利制限見直しのなかの薬事関係のところに、私たち病院図書室も関係する医療者への文献複写等の提供に絡む権利の審議がありました。

     
 
     
  薬事関係の権利制限とは?
   

皆様は、文献複写についてドクターから「MRさんにお願いするからいいよ。」といわれたことはありませんか? 現在の薬事法ではMR(製薬会社の医薬情報担当者)が自社製品に関連する文献等の情報を提供することは認められています。このため、製薬会社は、医療者への医療情報は人の生命にかかわることなので、著作権の許諾がなくても、迅速に文献の複製等ができるように権利制限をして欲しいという要望を提出していました。

 

     
 
     
  法制問題小委員会の審議
   

製薬会社の問題で私たちには関係ないと思うかもしれません。しかし、第6回(719日)の関係者からの報告と質疑応答を経ての第7回(822日)委員会では、日本では、医療者自ら学術情報を入手できる環境が整っていないからこそ、このように、権利制限の問題が生じているという現状を直視する審議がありました。それら審議をもとに、中間まとめでは、30pの③留意事項 c に記載されるまとめとなりました。

 

     
 

私たちにも大いに関係する問題であり、意見を提出しました。

実際に論議されている公聴会の時からこの審議に大きな関心を持ちました。病院関連の著作権に直接関係ないとはいうものの、製薬会社の文献情報提供については、19934月の医療用医薬品製造業公正取引協議会からの加盟企業への「労務の過剰提供自粛」指示とともに、病院図書室における相互貸借の整備に関連しています。また、医療・医学情報提供のインフラが全国規模で整うことは私たちも、望んでいることです。